2014年10月29日

暮らしの“揺らぎ”を捉える―香月洋一郎先生による聞書き講座

先日10月18日、民俗学をご専門とする香月洋一郎先生(前神奈川大学経済学部教授)をゲストにお招きして、仙台市震災メモリアル・市民協働プロジェクト「伝える学校」の一環であるRE:プロジェクトのゼミ「暮らしを見つめる聞書き講座」を開催しました。

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「聞書き」という柔軟な行為が可能にすることは何か、だからこそ気を付けなければならないことは何か、聞書きに取り組むゼミ受講者に対して、たっぷりと(5時間!)お話しいただきました。

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▲香月洋一郎先生

RE:プロジェクトでは、これまで東日本大震災で大きな被害を受けた沿岸部を中心に、長らく営まれてきた暮らしを聞書きし、『RE:プロジェクト通信』をつくってきました。

「暮らしは揺らぎの中にある。そのために、暮らしの表現の仕方は話し手によってそれぞれ違う。」

「ずっと表現しないできたことは、聞き手が登場することによって〈言語化〉の必要性が出てくる。その際に、いかに相手の揺らぎ、流動的なものを捉えるかが重要。」


これまでの取材のことを思い返し、上記のご指摘はとても強く響きました。

「聞書きは完結しない。繰り返すことで全体を見ていく(=各論から、聞き手として何を吸収していくか)。」

「繰り返しの行為の中で、その人の暮らしの輪郭をはっきりと描き出していく。その輪郭が現れた時に、聞き手には伝承記録者としての責任が生まれる。」


聞書きを行う上での聞き手としての立場の厳しさに圧倒されながらも、香月先生は「のびのびとやることが大事」ともおっしゃいました。「相手の時間の流れの中に入ることができるか」という問いは、聞き手としての自分自身の態度を改めて考えさせられるものでした。

相手が営む暮らしをしっかりと見て、その中から紡がれた言葉に敏感になること。そして、何よりも自分の好奇心を常に相手に傾けること。
香月先生の今回の講義を聞いて、「聞書き」という行為が持つ豊かさをしっかりと享受したいと思いました。そのためには、鍛練が必要であることも実感しました。ゼミ受講生の皆さんにとっても、非常に参考になる講義だったと思います。

香月洋一郎先生、ありがとうございました。

(文責:(公財)仙台市市民文化事業団 田澤紘子)
posted by 公益財団法人仙台市市民文化事業団 at 18:22| 伝える学校